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40年前のヘッドホン

 ヴィンテージ・オーディオの世界で、ちょっと例外的なのがヘッドホンではないかと思う。スピーカー、アンプ、ターンテーブル、マイクなどなどは1980年代以前のビンテージ物にもいろいろ名機と呼ばれるものがあるが、ヘッドホンにはあまりそういうものがないのだ。もちろん、昔から放送局や録音スタジオなどで使われるモニター用のプロフェッショナル仕様のヘッドホンは存在するが、現代のモニター用ヘッドホンより高性能なものなど、ほほ皆無だ。

 1960年代後半から1970年代まで、ほとんどの製品は音を発生するドライバーがコーン型だが、これは小径のスピーカーみたいなもので、現在主流のドーム型と違い低域を出すためにある程度の大きさが必要だった。昔のヘッドホンのハウジングがやたら大きいのはこのためだ。
 そんな大きさでも再生周波数の下限は20Hzくらいで高域も20kHzが出れば良い方であり、スピーカーに例えればフルレンジ1発と同じなので、低域と高域は不足気味になってしまう。高級品のなかには低域用と高域用の2本のドライバーを搭載したものなどもあったようだが、重量や大きさがアップして長時間の装着が厳しくなるという問題が出て来てしまう。

 結局、1980年代後半くらいからドライバーの振動板やマグネットに新素材が投入されたり、高能率なドーム型のドライバーが主流になって再生周波数も5~25kHz以上に大幅に拡大したのだ。実はこうした状況がわかったのは最近で、アンプとターンテープルを70年代の製品にしたので、ヘッドホンも時代を合わせようと余計なことを考えてしまい、1年くらい前にオークションで70年代前半のパイオニアのSE30という機種を落札した。このときに昔のヘッドホンをいろいろ調べたのだが、これという製品が無く、どれを買ってもあまり性能に差がなさそうに思えたのでデザイン性で選んでみた次第。スペックは以下である。

PIONEER SE30
・価格 \3,900
・型式:密閉ダイナミック型
・使用ユニット:直径70mmコーン型
・インピーダンス:8Ω
・音圧感度:?
・最大入力:500mW
・再生周波数帯域:20~20,000Hz(註:たぶん20Hzはほとんど出ません 聞こえるのは40Hzくらいからか?でも音楽を聴くには十分)
・コード長さ:2.5m
・コード引き出し:左側片出し
・重量(コード除く):380g(註:ケーブルが結構重いw)
・販売開始1967年~販売終了1974年頃

 届いた商品はイヤーパッドの合皮のビニールがかなり劣化していてしばらくはオリジナルの状態で使っていたが、だいぶ痛みが激しくなってきたので、思い切って交換してみることにした。
 秋葉原のイーイヤホンというイヤホンとヘッドホンの専門店で店のスタッフの方などにも聞いて似た形状のこれを購入。

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 ついでに低域の出が悪いのでメンテナンスもしてみようと分解してみた。構造は物凄く簡単で、お椀のようなハウジングにドライバーを固定したプレートを3箇所のネジで締めこんでいるだけw。中には調整用のスポンジが入っていたが経年で弾力はあるもののかなり硬くなってしまっていた。試しにスポンジを抜いて(入れてあるだけで固定はされていない)試聴してみると、びっくりするくらい低域の出が良くなった。ネットで「ヘッドホン+改造」を検索す
ると、ハウジング内の詰め物を取ると低域が増強される(詰め物で低域の出音を調整している)という記事がいくつか見つかったが、まさにそれ。

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 2000年頃にTECHNICS RP-DJ1200KというDJ用のモニターモデルを買って使っているのだが、それと比べてもややタイト感がないことを除けば遜色ないくらいだ。ちなみにTECHNICS RP-DJ1200Kの再生周波数帯域は8~30,000Hzである。イヤーパッドを交換して装着感も良くなったので、またメインで使ってみるつもりだ。SE30は中域がかなり強調されて低域と高域に伸びが無い、いわゆる「カマボコ型」の再生特性だが、ジャズ・ボーカルや歌謡曲などの歌物ではボーカルが前面に出て来る感じで臨場感がアップするし、最近の打ち込み系の曲はドンシャリ感が適度に抑えられて聴きやすくなるというメリットもあることが分かった。しかもインピーダンスが8Ωと低いので、iPhoneでの再生も使用電力が少なくバッテリーの持ちが良いというメリットもある。デメリットは何と言っても外では目立つことだろう。まだ外出時に使う勇気は出ない。

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