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沖縄・プリズム 1872-2008 展

文化の日に、沖縄・プリズム 1872-2008 展を竹橋の国立近代美術館に見に行った(文化の日に行くと入場料が無料になるのだ)。
展示は明治から平成まで(=近代)の沖縄をテーマにした様々な作品(絵画、文学、写真、映画、彫刻、陶芸、現代美術など)を時代を追って展示している。とにかく作品点数が多いのと、映像作品(10分~20分程度の主にドキュメンタリー映画)がたくさんあるので、全部を見るのに結構時間がかかる。
写真の作品では、岡本太郎、木村伊兵衛、東松照明などの本土のいわゆる有名どころの他に平良(たいら)孝七「パイヌカジ」、平敷(へしき)兼七「山羊の肺」、比嘉(ひが)康雄の久高島のシリーズ、石川真生(まお)「沖縄芝居 仲田幸子一行物語」、伊志嶺(いしみね)隆「光と影の島」、比嘉豊光「光るナナムイの神々」など沖縄の作家の作品も充実しており、さらに開拓農家として北海道に移住してきた沖縄出身の家族を撮影した掛川源一郎の作品などもあって沖縄をテーマにした近年の写真展としては質量ともにもっとも充実していたのではないかと思う。
本土の作家の作品が主として沖縄独特の風俗や人物をテーマにしていることが多いのに対して、沖縄の作家たちは自然や風景をテーマにしていることが多いのが興味深い。本土側の作家でそれがかなり顕著なのが岡本太郎の作品なのだが、現在に引き継がれている古代日本の心というか縄文文化のDNAをとにかく見つけたいと思っている岡本氏には沖縄の自然は風俗ほど興味の対象にはならなかったのかもしれない。はからずも戦前にほぼ同じ視点で沖縄を「発見」したのが民藝運動の柳宗悦で、日本民藝協会が「琉球の民藝」という当時の伝統工芸を撮影した貴重な記録映画を作っている。しかし、沖縄に古代日本のDNAが濃く流れているという本土からの視点は戦前には一種の差別や偏見を生む土台にもなっていたこともわかる。日本が太平洋戦争を開始する前年1940年に製作された「琉球の風物」という記録映画では、かつての琉球が海洋国家として東南アジアと交流していたことを背景に沖縄県人による南方移民を奨励し、それが日本の国策である南方進出を正当化する内容になっている。
多くの住民を巻き込んだ悲惨な沖縄戦やその後の米軍統治、復帰後の米軍基地問題、集団自決をめぐる教科書問題など、本土では沖縄には政治的なマイナス情報ばかりがつきまとう印象だが、それもまた沖縄の一面でしかないと思う。
最初に書いたようにとにかく作品点数が多いので、見終わった後でも印象が散漫になってしまう感じだが、貴重な展示も多いので、できれば何回かに分けてじっくり見るといいかもしれない。期間は12/21まで。

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